Clockway

項の日記です。

やっと読んだ


昨年6月に取材させていただいた椙山女学園大学准教授、堀田あけみ先生の作品「1980 アイコ 十六歳」、先日、地元の図書館で借りて、ようやっと読みました!



三田アイコ、16歳の、「夏は嫌いだ」論から、嫌いな女の子の話やら、過去に付き合っていた男子との話やら、優先席の話やら、屋根に登る癖やら何やら、日常が描かれた、小説というよりエッセイに近いお話。
舞台は愛知県で、本文は名古屋弁祭です。
んでも名古屋弁三河弁の違いがわからん程度にスラスラ読めました。



1980年に16歳ということで、アイコちゃんはもし存在していたならいま48歳。
つまり親と同じ世代の高校生時代のお話ということになります。
なのに「あるあるー」話満載なのはどういうことwと思いながら読み進めました。



女子高生は3人集まるとどうしてもうるさくなっちゃうんだよね。
大人達は「いまの若者は〜」って言うんだよね。
衝動的に死にたくなるよね。w
嫌いな子ってどうしてもできちゃうよね。
高校生ってそういう時期なんだよなあ、と思いました。
アイコが屋根に登りたがるのは私が高校時代に、とにかく走りたがっていたのと似たようなものなのだろうな、とも。解放を求める行動なのかとかの細かい理由はわからんが。



嫌いな女の子との和解もバトルもないし、付き合っていた男の子とくっつくわけでもなし、友達に略奪愛されるわけでもなし、大切な人が死ぬわけでもなし。
ただ毎日何かを考えて、小さな教室の中できゃあきゃあ騒いで、授業中だけ格好付けて持論を振りかざす、彼女たちの小さな世界。



って具合に物語自体は適当に、うんうん面白いね、と読んでいたんだが、あとがきでボロ泣きしてしまった(^^)



あとがきを書かれたとき作者さんは19歳。
口調は完全本編と一緒なんだけど、その語り手は作者さん、つまり堀田あけみさん。
その生の声というかぶっちゃけ具合が、ああこの人は生きていてこの小説を書いて今も生きているんだーと実感されて、泣いた。
堀田さんは当時17歳で最年少文壇デビュー。
だから騒がれるところもあったらしく、大学に入るときにかなり祝われて嫌だったとか。
あと小説主人公のアイコちゃん宛にラブレターも、当時の男子学生らから届いたそうで、その件に関しては、「実在しないアイコに恋い焦がれるより、アイコ役の女優さん可愛いなーとかの手の届かない対象でいいから実在の女の子を好きになってあげた方が健全と思うよ」とズバッと切っちゃったりw
今も昔も架空人物に憧れる気持ちを持つ人は少なからずいたのねw
あと、舞台は星ヶ丘高校(名古屋のね)。
この地元っぷりもまた涙腺がうるうる。



また、新装新版だったため、最後に41歳の堀田先生からのメッセージもありました。
3人の子供を抱え学生でもあり先生でもあり主婦でもある毎日を送っていらっしゃる、とのこと。
この部分は落ち着いて読めた。



なんだろうね。
なぜか、19歳のときのあとがきを読んだとき、凄く目頭が熱くなった。
他人の人生に触れた感覚かな?
単純にいちばん年齢の近いときの文章だったから?
16の時に読んでいれば本文が、41の時に読めば新版のあとがきが、自分の心を揺さぶるのだろうか…。
わ、わからぬ。



若かりし頃を思い返すにはうってつけな1冊でした。